ノベル『鶯島』

「すみません」 「何?」 「二人乗り往復券と間違えたんですよ」 「一人分、返金ね」  若い女が差し出す。彼女の硬貨には新たな元号は刻まれていない。まだ元年も最初の月だから。爽やかな香水が発汗滲んで香ばしい。麝香の蠱惑もほ … 続きを読む :  ノベル『鶯島』